(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和25年(1950) 4月 〈少年少女の読み物百種委員会〉を組織―委員:羽仁説子・林達夫・松方三郎・中井正一・光吉夏弥・宮本忍・中野好夫・中谷宇吉郎・吉田甲子太郎・清水幾太郎・吉野源三郎。〈健康な人間らしい情操と識見とをもった人を作り上げるために良い影響を与え得ると信ずる書物〉の選定を目的とし、各界500人の人々に書目の選択を要請、183人の回答を得、約1年を費して100点を選定、その結果を、《図書》12月号に発表した。 岩波書店
12月25日 《岩波少年文庫》創刊―戦前、岩波書店は叢書《少国民のために》と並んで少年文学の叢書を計画し、豊島与志雄・中野好夫氏等の指導の下に着手、一部分は校正の段階にまで仕事を進めたが、戦争と共に用紙の割当を拒まれて実現の運びに至らなかった。戦後その計画を再興し、石井桃子氏の参加を得、新たに書目を選定してこの叢書を創刊したのである。世界児童文学の古典を正しく移植すること、現代各国の児童文学の新鮮な傑作を紹介すること、兼ねて在来の日本の翻訳児童図書の杜撰さを改め、正確で美しい日本語の定訳を作ることが、この叢書の覘いであった。普及を願って小型・廉価版とした。 岩波書店
昭和28年(1953) 4月 岩波文庫創刊25年記念として、この月間に、次ぎの諸行事が行われた。//▲全国の小・中・高校および図書館へ抽選により10万冊の文庫進呈―締切りまでに2万余の申込みがあった。A組...岩波文庫600選1揃全69組、B組...岩波少年文庫・写真文庫各1揃全207組、C組...B組のうちいずれか1揃全414組。//▲文庫卸値正味5分引き販売。//▲小冊子《古典の読みかた》刊―文庫判126頁、非売品。30万部を全国の小売店を通じて読者へ贈呈。執筆者:小泉信三・清水幾太郎・大内兵衛・高木市之助・桑原武夫・吉川幸次郎・河盛好蔵。//▲記念パーティー開催―4月11日、東京会館にて、岩波書店創業40周年記念をも兼ねて著訳者を中心に関係者を招待、約400人来会、4月28日夜、京都、都ホテル、100人来会。//▲岩波文庫の夕―4月18日夜共立講堂にて開催、小売店・印刷所・製本所関係者・社員およびその家族を招待。//▲記念講演会―4月18日午後1時、神田共立講堂にて開催。講師:野上弥生子・都留重人・吉川幸次郎・萩原雄祐。朗読:山本安英。4月30日午後6時、大阪産経会館にて開催。講師:安倍能成・恒藤恭・菊池正士・中野好夫・清水幾太郎。//▲《文庫》4月号特集〈岩波文庫創刊25年記念〉発行。//▲社内パーティー開催―4月24日、会社創立記念日の祝賀を兼ねて。 岩波書店
11月21日 岩波講座《文学》刊行開始―全8巻。編集:伊藤整・猪野謙二・桑原武夫・西郷信綱・竹内好・中野好夫・野間宏。文学に関する在来の講座は、文芸学と文学史の知識を要約して、文芸の諸型態・各国文学史・時代別流派別の解説・作家論・作品論等を提供するのが普通であったが、この講座では、とくに戦後の日本の社会とこれからの文学との関係に焦点をおき、新たな国民文学の創造を要望しつつ、問題をそこから取り出し、その解答を探究する形で編集が行われた。戦後の激変した社会生活の中で、青年の自己解放の要求が文学に新たな表現を求めていた際であったためか、この講座も広汎な読者から迎えられ、大きな売行きを示した。(1954.6.30完結)。 岩波書店
昭和29年(1954) 11月29日 岩波講座《文学の創造と鑑賞》刊行開始―全5巻。編集:伊藤整・猪野謙二・桑原武夫・国分一太郎・西郷信綱・竹内好・中野好夫・野間宏。さきの講座《文学》のあとを受け、文学を職業的作家や文学者から解放して民衆のものとすることを標榜して試みられた講座。内容は、内外文学の古典的な作品の鑑賞・さまざまな形の文章表現・創作方法や創作体験の解説を中心として文学教育にまで及んだ。(1955.3.30完結)。 岩波書店
昭和30年(1955) 11月20日 岩波写真文庫フォト・コンテストを行なう―写真文庫は順調に継続出版されていたが、発刊5周年を機会に、その記念を兼ねて全国に散在する多数のカメラマンとの結合をはかり、コンテストを行なった。同一の題目による応募写真から優秀な作品を選び、これを1冊の写真文庫とする計画で、この日が締切日であった。出題は《日本―1955年10月8日》。審査員:幸田文・和達清夫・南博・吉村公三郎・中野好夫・名取洋之助。応募者数:884人。応募写真総数:2817点。審査の結果、最優秀作3人(賞金2万円)、準優秀作10人(賞金1万円)が選ばれ、《図書》1956年2月号に発表。写真文庫は募集テーマを書名として1956年4月25日に発行された。 岩波書店
昭和31年(1956) 11月25日 岩波講座《現代思想》刊行開始―全12巻(別巻共)。第2次大戦後10年の歴史は、国際的にも国内的にも、あらゆる予見を裏切るようなめざましい展開を示し、日本の思想状況は、第1次大戦後に数倍する混乱の状態にあった。第1次大戦後に《哲学叢書》の刊行を必要としたとすれば、第2次大戦後にはそれに見合う出版がなお一層痛切に必要とされているに違いない。このような考えから、この講座が企画された。丸山真男・都留重人・清水幾太郎・中野好夫氏等が中心となって構想、この種の講座の定式となっている現代思潮の諸流派・諸主義の解説という方法を廃止し、むしろ現代の歴史的現実からの挑戦を如何に思想が受けとめ、どのようにそれを処理しているか、という観点から、民主主義に関する問題・民族主義に関する問題・社会主義に関する問題等を検討、それによって巻別を定めて、現代思想の展開を説明するという方法を採った。予想以上に多くの読者の共鳴を得て、営業成績においても上成績を示した。(1957.12.14完結)。 岩波書店
昭和32年(1957) 11月 岩波少年文庫クリスマスプレゼント用セット作製―選者:中野好夫・石井桃子・国分一太郎・宮原誠一。男女児別に各3冊、15組。 岩波書店
昭和36年(1961) 7月25日 小冊子《100冊の本―岩波文庫より》刊―新書判56頁、非売品。岩波文庫は創刊以来35年間に2700点を刊行し古典の普及版叢書としては、創刊当時模範とした《レクラム文庫》をも凌ぐ厖大な書目を擁し、国際的に見ても類のない出版となったが、それだけに、一般の読書人、とくに若い人々にとっては、その全体を見渡して選択を行うことが困難となり、適当な案内を必要とするに至った。1956年に《読書案内》という小冊子を出したのもこの必要に応じるためであったが、さらに岩波文庫の中から100点をえらんで実際的に一つの指標を提供することを試みたのである。100点の選衡については、まず下記15人の選者に依頼して、それぞれ岩波文庫総目録を検討の上若い読者に推奨すべき書目100点を挙げていただき、その結果を集計し、得票数による順位をつけて選者に報告、さらに数名の選者が討議を重ねて結論を出した。小冊子に発表するにあたっては、各著作に解説を付した。選者:臼井吉見・大内兵衛・大塚久雄・貝塚茂樹・茅誠司・久野収・桑原武夫・武谷三男・鶴見俊輔・中野重治・中野好夫・松方三郎・丸山真男・山下肇・渡辺一夫。非売品として各小売店を通じて頒布、非常な歓迎を受け、増刷を重ねた。他方7月25日から新聞紙上にもこの結果を広告、100点の文庫本そのものもセットとして販売したが、その反響は著しく、岩波文庫発刊時に次ぐ盛況を示した。 岩波書店
昭和42年(1967) 6月29日 《考える人―五つの箱=岩波文庫より》発売、ならびに小冊子作製―この年、岩波文庫創刊40年にあたり、12名の先生方にお願いして、現代に生きる人々が直面している中心課題を5つのテーマにしぼり、岩波文庫の中から、テーマごとに17~19冊を選択してセットとした。それぞれのテーマについて選者に読書の手引きの執筆をお願いして小冊子とし、各セットに付した。選者は、〈学問の精神〉=湯川秀樹・大塚久雄、〈国家とは何か〉=丸山真男・日高六郎・福田歓一、〈人生〉=吉川幸次郎・中野好夫、〈人間の解放〉=宇野弘蔵・中野重治・松田道雄、〈生きるよろこび〉=桑原武夫・久野収の諸氏である。 岩波書店
昭和49年(1974) 4月1日 小冊子《新選100冊の本―岩波文庫より》作製―新書判56頁、非売品。1961年7月、岩波文庫創刊35年を機に、若い人々の読書の指標たるべく、15人の先生方を選者として既刊書より100点を選ぶことを試み、好評を得たが、その後10数年をへたので、今回改めて100点を選びなおした。新たな選択の結果、前100冊の本の書目のうち54点がいれかわることとなった。選者:内田義彦・大江健三郎・加藤周一・辻邦生・都留重人・鶴見俊輔・寺田透・中野好夫・林達夫・藤沢令夫・益田勝実・松田道雄・丸山真男・湯川秀樹・吉川幸次郎。 岩波書店
10月1日 第1回大仏次郎賞=中野好夫《蘆花 徳富健次郎》、梅原猛《水底の歌》。 出版界
昭和50年(1975) 3月13日 都知事選挙で、社共両党委員長・総評議長・中野好夫・野村平爾の5者会談、都の同和行政問題で社共合意、共闘成る。 内外事情
昭和54年(1979) 6月6日 《大航海時代叢書 第II期》刊行開始―全25巻。編集:生田滋・越智武臣・高瀬弘一郎・長南実・中野好夫・二宮敬・増田義郎。この第II期に蒐められた作品群は、第I期の単なる補完物としての役割に留まるものではなく、それ自体まとまりをもった叢書として自立しており、同時に第I期全11巻をその中に取りこみ、全36巻の大航海時代にかかわる一大叢書をつくり上げ、問題設定の深まりと拡がりをみせるにいたっている。第II期では〈大西洋世界〉、つまりインディアス(アメリカ大陸と周辺の島々)を軸に、アフリカとヨーロッパの三地域がとり交わす空間に重点が置かれている。第II期の末尾に全5巻のラス・カサス著《インディアス史》が収められたのも第II期の特色を示すものであるが、その主題は、ここに繰りひろげられたヨーロッパの事業全体に対する彼ら自身による根源的な批判にあった。その他にも、大航海時代にあって、ヨーロッパの〈後進国〉イギリス・フランス・オランダなどが、〈先進国〉ポルトガル・スペインに対抗してすすめた活溌な運動、世界各地に足をのばした宣教師たちの精力的な布教活動などにも組織的に発掘の手をのばすなど、第I期にはみられない観点が取り入れられた。(1986年末までに19冊刊行)。 岩波書店
昭和58年(1983) 1月1日 中野好夫氏、著作と実践を通しての平和と民主化への貢献、井筒俊彦氏、イスラム思想・文化の研究と比較思想史の研究により、それぞれ1982年度朝日賞受賞。 岩波書店
昭和60年(1985) 2月20日 中野好夫氏逝去。 岩波書店
昭和63年(1988) 11月2日 《カセットできく学芸諸家―岩波文化講演会から―》第2集、井上光貞 古代日本と朝鮮/桑原武夫 世界の中の日本文化/竹内好 魯迅を読む/遠山啓 数学とこれからの社会/中野重治 漱石について/中野好夫 このごろ思うこと/林達夫 三つのドン・ファン/湯川秀樹 世界の構造と変化/吉川幸次郎 江戸儒学私見/我妻栄 夫婦の財産、発行。 岩波書店
平成5年(1993) 8月 中野利子《父中野好夫のこと》1993年度日本エッセイストクラブ賞を受賞。 岩波書店
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