(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和25年(1950) 6月30日 《西園寺公と政局》刊行開始―全8巻。元老西園寺公の秘書原田熊雄氏が1928年から1941年に至る間、親しく見聞した政局の推移を、日記によって口述し速記させた厖大な記録。〈原田文書〉として極東軍事裁判の法廷で重要な資料となったもの。戦前には極めて少数の人々のほか窺うことを許されなかった皇室・元老・政府・軍部の関係および重要な政策決定の過程をはじめて公開し、昭和期の政治の真相を国民に伝えたものとして、その政治史的価値を高く評価された。公刊にあたっては、著者の里見弴氏の推敲を経て、丸山真男氏、林茂氏ほか東大政治学研究室の少壮学者により周到綿密な整理・校訂が施された。この文書の出版は、戦争中原田氏から岩波茂雄に極秘に託されてあった。戦後その約を果そうとして着手しはじめたとき、極東軍事裁判のために押収され、裁判の終了後漸く解除されて出版の運びとなったが、この間に岩波も原田氏も共に故人となっていた。(1952.8.15完結)。 岩波書店
昭和31年(1956) 11月25日 岩波講座《現代思想》刊行開始―全12巻(別巻共)。第2次大戦後10年の歴史は、国際的にも国内的にも、あらゆる予見を裏切るようなめざましい展開を示し、日本の思想状況は、第1次大戦後に数倍する混乱の状態にあった。第1次大戦後に《哲学叢書》の刊行を必要としたとすれば、第2次大戦後にはそれに見合う出版がなお一層痛切に必要とされているに違いない。このような考えから、この講座が企画された。丸山真男・都留重人・清水幾太郎・中野好夫氏等が中心となって構想、この種の講座の定式となっている現代思潮の諸流派・諸主義の解説という方法を廃止し、むしろ現代の歴史的現実からの挑戦を如何に思想が受けとめ、どのようにそれを処理しているか、という観点から、民主主義に関する問題・民族主義に関する問題・社会主義に関する問題等を検討、それによって巻別を定めて、現代思想の展開を説明するという方法を採った。予想以上に多くの読者の共鳴を得て、営業成績においても上成績を示した。(1957.12.14完結)。 岩波書店
昭和36年(1961) 7月25日 小冊子《100冊の本―岩波文庫より》刊―新書判56頁、非売品。岩波文庫は創刊以来35年間に2700点を刊行し古典の普及版叢書としては、創刊当時模範とした《レクラム文庫》をも凌ぐ厖大な書目を擁し、国際的に見ても類のない出版となったが、それだけに、一般の読書人、とくに若い人々にとっては、その全体を見渡して選択を行うことが困難となり、適当な案内を必要とするに至った。1956年に《読書案内》という小冊子を出したのもこの必要に応じるためであったが、さらに岩波文庫の中から100点をえらんで実際的に一つの指標を提供することを試みたのである。100点の選衡については、まず下記15人の選者に依頼して、それぞれ岩波文庫総目録を検討の上若い読者に推奨すべき書目100点を挙げていただき、その結果を集計し、得票数による順位をつけて選者に報告、さらに数名の選者が討議を重ねて結論を出した。小冊子に発表するにあたっては、各著作に解説を付した。選者:臼井吉見・大内兵衛・大塚久雄・貝塚茂樹・茅誠司・久野収・桑原武夫・武谷三男・鶴見俊輔・中野重治・中野好夫・松方三郎・丸山真男・山下肇・渡辺一夫。非売品として各小売店を通じて頒布、非常な歓迎を受け、増刷を重ねた。他方7月25日から新聞紙上にもこの結果を広告、100点の文庫本そのものもセットとして販売したが、その反響は著しく、岩波文庫発刊時に次ぐ盛況を示した。 岩波書店
昭和42年(1967) 6月29日 《考える人―五つの箱=岩波文庫より》発売、ならびに小冊子作製―この年、岩波文庫創刊40年にあたり、12名の先生方にお願いして、現代に生きる人々が直面している中心課題を5つのテーマにしぼり、岩波文庫の中から、テーマごとに17~19冊を選択してセットとした。それぞれのテーマについて選者に読書の手引きの執筆をお願いして小冊子とし、各セットに付した。選者は、〈学問の精神〉=湯川秀樹・大塚久雄、〈国家とは何か〉=丸山真男・日高六郎・福田歓一、〈人生〉=吉川幸次郎・中野好夫、〈人間の解放〉=宇野弘蔵・中野重治・松田道雄、〈生きるよろこび〉=桑原武夫・久野収の諸氏である。 岩波書店
昭和43年(1968) 11月25日 《近代日本総合年表》刊―編集:勝本清一郎・西田長寿・江口朴郎・八杉竜一・山本二郎・遠山茂樹・丸山真男・隅谷三喜男・安藤良雄・星野芳郎・藤原彰・今井清一・内川芳美・山住正己・植手通有。この年表の企画が芽生えたのは1964年であった。岩波講座《日本歴史》1962年版の完結にともない、編集部は続く企画として日本の現代史を対象とすべく、その準備として既存の各種年表を用いて、明治以降の政治・経済から学芸・社会にわたる各部門を併記した100年間の年表を作成してみた。この試みを実際に行った結果、近・現代の日本の全体的な歴史像に近づくためには、多くの部門を見やすい形で併記し、それを縦横に一覧しうる〈総合年表〉がいかに必要であり、いかに有用であるかが実感として得られ、その編纂が始められた。以来3年余、編集委員・執筆者および協力者100名近くの方々による共同作業と、二百数十回に及ぶ討議を経て記載項目を3万余に圧縮選定し、それに典拠と索引を付して本年表の完成をみた。すなわちこの年表は、開国以来の日本の歴史(1853~1967)を、〈政治〉〈経済・産業・技術〉〈社会〉〈学術・教育・思想〉〈芸術〉〈国外〉の6部門に並立し、これによって同時代の全体像を一望のもとに収めうるものとなった。1984年5月には、その後の16年を増補した第二版が刊行された。 岩波書店
昭和45年(1970) 5月25日 《日本思想大系》刊行開始―全67巻。編集委員:家永三郎・石母田正・井上光貞・相良亨・中村幸彦・尾藤正英・丸山真男・吉川幸次郎。戦前・戦中を通じて厳しい抑圧を蒙っていた日本思想史の研究が、戦後、急速に開花し、在来未開拓の分野に向けての研究もまた年ごとに進展をみた。一方、読書家の中にも日本思想に対する関心が広まりつつあった。このような気運にこたえ、日本思想の古典的文献を集成・編纂し、あわせて文献入手の困難性をも克服しようとする意図をもってこの《大系》は企画された。古代から明治維新前夜に至る各時代・各思潮の代表的思想家の主要な著作をはじめとして、ひろく民衆の思想や意識を伝える資料的文献をもできるだけ採録して、これに厳密な原典批判・校訂を加えて定本づくりを志向し、懇切な注解を施し、また各巻に文献解題と思想史的解説を付して、今日の思想的課題との関連を明らかにした。執筆者は広く歴史学・宗教学・倫理学・中国文学・中国哲学・日本文学・国語学・政治思想史・法学・経済学・科学史学・文化人類学等、多方面の関連部門の専門家多数の協力を得ることができた。先に《日本古典文学大系》全100巻を完成した経験の悉くがこの大系に傾けられた。(1982.5.31完結)。 岩波書店
昭和47年(1972) 11月18日 《南原繁著作集》刊行開始―全10巻。編集:丸山真男・福田歓一。南原氏の多年にわたる政治学・政治哲学研究に関する全著作と、戦中から戦後にわたる代表的エッセイおよび〈歌集形相〉とを収める。特に前年完成された〈政治哲学序説〉は、本著作集においてはじめて公刊されることとなった。(1973.8.18完結)。 岩波書店
昭和49年(1974) 4月1日 小冊子《新選100冊の本―岩波文庫より》作製―新書判56頁、非売品。1961年7月、岩波文庫創刊35年を機に、若い人々の読書の指標たるべく、15人の先生方を選者として既刊書より100点を選ぶことを試み、好評を得たが、その後10数年をへたので、今回改めて100点を選びなおした。新たな選択の結果、前100冊の本の書目のうち54点がいれかわることとなった。選者:内田義彦・大江健三郎・加藤周一・辻邦生・都留重人・鶴見俊輔・寺田透・中野好夫・林達夫・藤沢令夫・益田勝実・松田道雄・丸山真男・湯川秀樹・吉川幸次郎。 岩波書店
昭和61年(1986) 1月20日 丸山真男《「文明論之概略」を読む》岩波新書、全3冊、刊行開始。 岩波書店
昭和63年(1988) 5月10日 《日本近代思想大系》刊行開始―全23巻別巻1。編集委員:加藤周一・遠山茂樹・中村政則・前田愛・松本三之介・丸山真男・安丸良夫・由井正臣。開国から帝国憲法発布にいたる約40年の間に存在したさまざまな可能性から何が選択され、それは後世をどう規定したか。広く民衆意識まで視野に入れて、現代の原点ともいうべき時代の全体像に挑む。膨大な史料を厳選してテーマ別に編成し、懇切な注と解説を付した、初めての本格的史料集成。(1992年4月完結)。 岩波書店
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