(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和12年(1937) 8月1日 吉野源三郎入店。(後常務取締役編集長)。 岩波書店
昭和21年(1946) 1月1日 雑誌《世界》創刊号発行―日本には優れた知性が存在しながら、祖国が亡国の道へ進むことを阻止し得なかったということは、岩波が敗戦に関して最大の痛恨事と考えたことであって、今後再びこの過ちを犯さないためには、広汎な国民と文化との結びつきに努めねばならぬといい、岩波書店も在来のアカデミックな出版から、進んで大衆のための出版に進出する必要があると説いた。終戦直後総合雑誌の発刊を提案したのは、この理由からであった。たまたま安倍能成・志賀直哉氏等、30余人の指導的な学者・芸術家から成る〈同心会〉でも総合雑誌発刊の議が起り、岩波にその申入れがあった。その結果1945年9月末、両者協力の形で雑誌《世界》が創刊されることに決した。監修:安倍能成、編集主任:吉野源三郎。《世界》という名称は谷川徹三氏の提案による。正月号を創刊号として1945年12月中旬に発売され、部数は8万部であった。なお同心会と岩波との協力関係については、岩波は自己の創刊した雑誌の編集を同心会の代表たる親友の安倍氏に委託したものと諒解し、同心会の方々は同人雑誌の発行を岩波が引受けたものと諒解し、多少の喰い違いがあったが、安倍氏が幣原内閣の文部大臣となるに及んで、大内兵衛氏が編集指導を代行することになり、しだいに同心会との結合がゆるくなって、やがて同心会が別に同人雑誌《心》を発行するに至って《世界》との関係は自然に解消した。 岩波書店
5月18日 従業員組合結成―初代委員長:吉野源三郎、組合員56人。義務教育終了後23~24歳までの現場の経験と、大学卒業の学歴とを等価値と認める原則の上に賃金体系を定め、労働条件は男女平等の原則によることになった。 岩波書店
昭和24年(1949) 4月25日 岩波書店、株式会社となる―岩波茂雄は創業以来個人経営をかえなかったが、戦時中および戦後発病以後、法人組織への変更を考慮していた。岩波の歿後、この問題は懸案となっていたが、当時の社会的混乱を考慮し、社会情勢と経済の一応の安定を待つこととし、経営の形態は変更しなかった。その後、戦後経済も安定し、業務も復興し、将来への見通しも可能となったので、かねての懸案をとりあげ、岩波茂雄歿後3年にあたるこの日、組織を株式会社に改めた。資本金5000万円。会長:堤常。取締役社長:岩波雄二郎。専務取締役:小林勇。常務取締役:長田幹雄。取締役:吉野源三郎(第3期より常務取締役)。監査役:安倍能成。営業・出版は長田、編集は吉野がそれぞれ担当。 岩波書店
昭和25年(1950) 4月 〈少年少女の読み物百種委員会〉を組織―委員:羽仁説子・林達夫・松方三郎・中井正一・光吉夏弥・宮本忍・中野好夫・中谷宇吉郎・吉田甲子太郎・清水幾太郎・吉野源三郎。〈健康な人間らしい情操と識見とをもった人を作り上げるために良い影響を与え得ると信ずる書物〉の選定を目的とし、各界500人の人々に書目の選択を要請、183人の回答を得、約1年を費して100点を選定、その結果を、《図書》12月号に発表した。 岩波書店
昭和26年(1951) 5月10日 吉野源三郎、常務取締役に就任。 岩波書店
昭和29年(1954) 1月16日 平和問題談話会主催・《世界》編集部後援により〈中国学術文化視察団帰国報告講演会〉開催―共立講堂において、司会:大内兵衛。講師:安倍能成・阿部知二・岸輝子・清水幾太郎・吉野源三郎。 岩波書店
9月27日 編集長吉野源三郎、学術文化視察団(団長安倍能成氏)の一員として中華人民共和国を訪問のため出発、10月27日帰国。 岩波書店
昭和30年(1955) 2月19日 日本ジャーナリスト会議創立、初代議長吉野源三郎。 内外事情
昭和34年(1959) 5月5日 木下順二《日本民話選》、吉野源三郎《エイブ・リンカーン》(いずれも岩波少年文庫)、第6回産経児童出版文化賞受賞。 岩波書店
昭和40年(1965) 5月28日 第16回定時株主総会開催―この期の売上高は前年に比し13%の上昇をみた。この期の特色は、重版点数が2216点と前期より約500点増加し、商品の回転率も著しく早くなったことである。これは営業所の建設に際し、倉庫のスペースが一時的に狭くなったため、また資金繰りの関係から、製作部数の抑制政策をとってきたことの結果である。この期に児童及び少年向きの書籍の売上げが著しく伸びたのは、この方面の出版活動が発足後15年を経て、ようやくその真価が一般に認められたことによる。配当1割2分。取締役吉野源三郎・芹沢孝三郎退任し、中山武雄・玉井乾介取締役に新任。監査役任期満了につき改選。安倍能成退任し、曽志崎誠二重任、種田孝一新任。取締役会における互選の結果、専務取締役に長田幹雄、常務取締役に長村忠それぞれ新任、その他重任。//吉野源三郎編集顧問に就任。 岩波書店
昭和41年(1966) 10月17日 《三木清全集》刊行開始―全19巻。編集:大内兵衛・東畑精一・羽仁五郎・桝田啓三郎・久野収。1946年9月刊行の《三木清著作集》全16巻には、当時の占領軍の命令、その他の事情によって収録を見合わせた資料も多く、戦後の悪条件のため造本も十全とは言い難いものであった。今回の全集は、新発見のさまざまな評論・日記などを加えて全集とした。なお、刊行に先立ち、三木氏の命日9月26日には〈三木清を偲ぶ〉講演会を東京・京都で同時に開催し、東京では古在由重・羽仁五郎の両氏が、京都では松田道雄・阿部知二・久野収・吉野源三郎の諸氏が講演を行った。(1968.5.24完結)。 岩波書店
昭和44年(1969) 5月10日 《岩波六法全書》40周年記念の会―京都中村楼にて、末川博氏はじめ参会者17名。翌11日に京都法然院にて行われた末川氏を中心に安倍恕・大江保直・山木戸克己・佐伯千仭・芦部信喜・鮫島真男・鵜飼信成・吉野源三郎の各氏による座談会記録は、〈法律面から見た昭和史―《岩波六法全書》40周年に際して〉の表題で《図書》11・12月号に掲載された。 岩波書店
昭和56年(1981) 5月23日 吉野源三郎歿―吉野は1937年8月岩波書店に入店した。1925年東大哲学科を卒業、三省堂をへて東大図書館に勤め、山本有三の推輓をえて新潮社発行の《日本少国民文庫》の編集主任となり、名著《君たちはどう生きるか》を執筆。明治大学文芸科の教授となるなど、さまざまな経験をへた後の入店であった。戦前は1938年の《岩波新書》創刊に参画したが、戦後は雑誌《世界》の創刊時に編集長となり、1949年岩波書店が株式会社に改組した際に編集担当役員、1951年常務取締役に就任、1965年辞任後も編集顧問として、戦後の岩波書店の編集活動の中心的役割を果した。 岩波書店
昭和58年(1983) 5月27日 《岩波文庫101》発売―若い人々のために、岩波文庫から選りすぐりの古典的作品82点101冊に、新しくカバーをつけて発売した。各冊分売であるが、全冊をセットとして合計定価3万5650円で販売、そのセットには特装読書手帖1冊をそえ、またカバーに印刷されているシール10枚で、特製ブックカバーを進呈した。同時に全書目に解説を付した小冊子《岩波文庫101》(新書判48頁、非売品)を作製、読書指導の手引きとして全国の中・高希望校に贈った。//書目一覧―森鴎外 ウィタ・セクスアリス/夏目漱石 吾輩は猫である全2冊/田山花袋 東京の三十年/島崎藤村 破戒/樋口一葉 にごりえ・たけくらべ/泉鏡花 高野聖・眉かくしの霊/寺田寅彦 随筆集全5冊/志賀直哉 小僧の神様/石川啄木 ROMAZI NIKKI/芥川竜之介 羅生門・鼻・芋粥・偸盗/宮沢賢治 風の又三郎/太宰治 富嶽百景・走れメロス/与田準一編 日本童謡集/伊藤整 近代日本人の発想の諸形式/中原中也 詩集/小堀杏奴 晩年の父/小熊秀雄 詩集/魯迅 評論集/郭沫若 歴史小品/老舎 駱駝祥子/知里幸恵編訳 アイヌ神謡集/ソポクレス オイディプス王/シェイクスピア ヴェニスの商人/スウィフト ガリヴァー旅行記/ブルフィンチ ギリシア・ローマ神話/ラフカディオ・ハーン 怪談/サキ傑作集/オーウェル評論集/マーク・トウェイン 不思議な少年/ビアス いのちの半ばに/オー・ヘンリー傑作選/フーケー 水妖記/ヘルマン・ヘッセ デミアン/シュテファン・ツワイク マリー・アントワネット全2冊/ベルトルト・ブレヒト ガリレイの生涯/モリエール タルチュフ/ラ・フォンテーヌ 寓話全2冊/スタンダール 赤と黒全2冊/デュマ 三銃士全2冊/ジョルジュ・サンド 愛の妖精/ルナアル にんじん/ロマン・ロラン ベートーヴェンの生涯/ゴーゴリ 外套・鼻/ドストエーフスキイ 罪と罰全3冊/トルストイ イワンのばか/ガルシン あかい花/チェーホフ 可愛い女・犬を連れた奥さん/ハイヤームルバイヤート/倉野憲司校注 古事記/芭蕉 おくのほそ道/一茶俳句集/町田嘉章・浅野建二編 日本民謡集/杉田玄白 蘭学事始/巌本善治編 新訂海舟座談/福沢諭吉 新訂福翁自伝/中江兆民 三酔人経綸問答/内村鑑三 後世への最大遺物・デンマルク国の話/大杉栄 自叙伝・日本脱出記/細井和喜蔵 女工哀史/柳田国男 遠野物語・山の人生/和辻哲郎 古寺巡礼/橋本進吉 古代国語の音韻に就いて/日本戦没学生記念会編 きけわだつみのこえ/吉野源三郎 君たちはどう生きるか/金谷治訳注 論語/金子大栄校注 歎異抄/タキトゥス 年代記全2冊/アーネスト・サトウ 一外交官の見た明治維新全2冊/コロンブス航海誌/E.S.モース 大森貝塚/柴田治三郎編訳 モーツァルトの手紙全2冊/プラトン ソクラテスの弁明・クリトン/マルクス・アウレーリウス 自省録/ルソー エミール全3冊/ヒルティ 眠られぬ夜のために全2冊/H.ブラッドリ 英語発達小史/ヴェーゲナー 大陸と海洋の起源全2冊/ポール・ド・クライフ 微生物の狩人全2冊/イェーリング 権利のための闘争/J.S.ミル 自由論/エンゲルス 空想より科学へ/M.ウェーバー 職業としての学問。 岩波書店
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