笹気出版印刷(株)『妝匣の本質 : ひたむきに生きる、刷匠たちの念い』(2012.05)

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技術 活字とは?//活字の書体(形)で文の表情も違います 活字とは、活版印刷に用いる字型のことです。文字を一つだけ彫り、その字を並べ替えれば、何度も使用できる「活きている字」という意味。一三〇〇年代、中国の王偵が木の活字を発明し、一四四五年、ヨーハン・グーテンベルグが鋳造の金属活字という画期的な発明を成し、印刷技術は聖書の印刷とともにヨーロッパに広がりました。//日本に近代の活版印刷術が導入されたのは幕末から明治初期で、この時に和文の活字が誕生します。//今では、永年の活版印刷からデジタル印刷へと移行し、金属活字、写植、デジタルフォントへと変わりましたが、わたしたちの周《まわ》り、本・雑誌、ウェブ、街の風景にいたるまで在る文字たちには、脈々と活字が受け継がれています。 巻頭
技術 活字とは?//四角いもの 写真、書体いろいろな金属活字、手書き文字で書いた原字、上がパターン(彫刻用ガイド版)、下が活字の母・母型、英文モノタイプの母型の拡大写真(ランストン社製) 巻頭
技術 活字とは?//夢のようなもの 写真、陶活字、「有村祐の詩集」より(中国で生まれた幻の活字を再現しようと、笹気直三は陶活字に挑戦。昭和7年同期入社の詩人有村祐の詩を陶活字で印刷しました。)、邦文全自動モノタイプの母型、金属活字、活字母型彫刻機(パターンをガイドにして、1分間に約1万回回転するカッターでマテ(真鍮棒)に母型を彫刻。(ツガミ社製)昭和32年)、活字ができるまで(台紙に手書き文字等で原字を書く→写真を撮る→亜鉛板に焼付け、さらに腐食させてパターンを作る→マテ(真鍮棒)に相似形を利用して母型を彫る→鋳造機に母型をセットし、活字を鋳込む) 巻頭
技術 活字とは?//まっすぐなもの 写真、笹気出版印刷では、作った活字を使用するのは一回だけ。真理や知識、情報をより多くの人々に伝えることを使命とする印刷にあって、正確で美しい印刷へのまっすぐな姿勢が、一回限りの活字使用にも貫かれています。組版(原版)ができるまで(文選工が、活字ケースから原稿に沿って活字を拾い、集める→植字工が、原稿を見ながらステッキに活字を並べ、さらに手ゲラに移して、組版を作り上げる→最後に組版の周囲を凧糸(解版糸)でしっかりと縛り、固定する→校正刷りを上げ、校正・訂正し、間違いのない印刷の原版となる)、出来上がった組版(1頁分の組版が、凧糸でしっかりと固定されている。下は手ゲラという台)、ステッキ(ステッキについている仕切りを必要な長さに合わせ、活字を並べる。必ず、左手の親指で活字を押さえておく。ステッキがいっぱいになったところで、手ゲラに移す)、行間用インテルや罫をカットしたりはさんだりする組版用道具、円形文字盤(昭和49年、印刷技術変革期にあって先駆的役割を果たした電算写植機の文字盤) 巻頭
技術 活字とは?//気の遠くなるもの 写真、デルゲ版チベット大蔵経(東北大学附属図書館所蔵)(昭和25年、東北大学文学部の依頼を受けた『西蔵撰述仏典目録』。手刷り原本630枚を拡大して平均を取った大きさでチベット文字を創刻し、母型を起こすことから始まり、以来3年の歳月をかけて印刷し、完成させました。その労作は大いに賞賛され、昭和30年、著者は日本学士院賞を受賞。また、インドの博物館からの懇請に応え、当社制作のチベット語活字を、インド大使館経由で寄贈しています。)、『渋沢栄一伝記資料』全58巻及び補遺10巻合計68巻。本書は朝日文化賞を受賞。(昭和29年12月、渋沢栄一伝記資料刊行会理事長の矢野一郎氏より第一巻の原稿を受け取って以来、20年間にわたり毎日16頁の校正のやりとりと印刷を続けました。)、日本の天才和算家『関孝和全集』(日本独自の和算を世界的レベルにまで高めた、江戸の和算家(数学者)が関孝和で、その全集は約230年の時を超えての出版でした。昭和10年頃、平山と名乗る東北帝国大学で学ぶ青年が「和算文献目録をつくってほしい」と来社。作成し手渡しましたが、その後の音沙汰はないままに、39年。昭和49年のある日、和算一筋に歩み教授となっておられた平山諦先生から、印刷のご依頼があり、出版となりました。和算書という極めて複雑な活版印刷は当時たいへん話題となり、完成するまでのエピソードが『月刊エコノミスト』に掲載されたほどです。) 巻頭
技術 活字とは?//うつくしいもの 写真、90×64mm(48頁)、88×62mm(16頁)、92×65mm(20頁、89×64mm(40頁)、89×64mm(32頁)、88×63mm(16頁)、83×59mm(16頁)、43×21mm(8頁)、30×23mm(48頁)、活字の母型を彫刻することから始まった本づくり。和文、チベット語を始め、世界のさまざまな文字の印刷。笹気出版印刷が、その中で貫いてきたのは、美しい活字、美しい印刷への探求です。この個性豊かな豆本たちにも、美しい活字文化への熱い想いが注がれています。 巻頭
沿革 笹気出版印刷文化史 前史~平成二十四年(二〇一二) 年表、笹気出版印刷関連、日本の出版・印刷関連、社会の動き p298
参考文献 初出一覧 著者、書名 p310
参考文献 参考文献 書名、発行年、著者・訳者、発行所 p311
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