(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
大正6年(1917) 5月1日 月刊雑誌《思潮》創刊―主幹:阿部次郎。同人:石原謙・和辻哲郎・小宮豊隆・安倍能成。発行の辞は1300字に及ぶがその始めに“優れたる文明を建設し豊なる生活を開展せむがためには、その基礎を広くおおらかに築かなければならない。そのためには、我等は、祖国のことと共に世界のことについて、自家のことと共に他人のことについて、博大にして深邃なる興味と同情と理解とをもっていなければならない。狭隘なる国粋主義は、徹底せる理解と批評とを欠ける外国模倣と共に、我等の文明と生活とを貧寒にするものである”と述べている。定価は創刊号30銭、以後25銭。 岩波書店
大正8年(1919) 5月23日 和辻哲郎《古寺巡礼》刊―日本文化の新鮮な再評価として注目され、以後絶えず版を重ねた。1947年3月改訂。 岩波書店
大正10年(1921) 10月1日 雑誌《思想》創刊―編集は和辻哲郎氏を中心に岩波茂雄も従事した。 岩波書店
大正11年(1922) 10月28日 岩波茂雄、速水滉・上野直昭・中勘助・和辻哲郎・津田青楓・安倍能成・篠田英雄・高橋健二氏等とともに天竜峡を下る。 岩波書店
昭和4年(1929) 4月1日 《思想》4月号より復刊―従来は岩波書店編集となっていたが、実際には初期のころ和辻哲郎氏、その後高橋穣氏・伊藤吉之助氏等が顧問として編集を指導していた。復刊を機会に編集者を明示することとし、和辻哲郎・谷川徹三・林達夫の3氏が担当した。 岩波書店
昭和15年(1940) 5月17日 岩波講座第14次《倫理学》刊行開始―全15巻。編集:天野貞祐・高橋穣・和辻哲郎。(1941.12.20完結)。 岩波書店
昭和17年(1942) 1月 文部省、国民芸能文化専門委員会新設、岸田国士・和辻哲郎ら19委員を決定。 内外事情
昭和23年(1948) 7月15日 《木下杢太郎全集》刊行開始―全12巻。編集:児島喜久雄・和辻哲郎・三輪福松・沢柳大五郎・曽根正蔵・河合正一・野田宇太郎。(1951.10.15完結)。 岩波書店
昭和27年(1952) 7月5日 《少年美術館》東洋篇刊行開始―全6巻。装幀:安田靱彦。解説:北川桃雄。彫刻・建築写真:入江泰吉。東洋の美術を年少者に理解させることは困難とされ、したがってこの種の出版は未開拓の領域であったが、志賀直哉・安田靱彦・和辻哲郎3氏の指導をえて刊行を実現することができ、営業的にも十分に成り立った。(1953.6.10完結)。 岩波書店
昭和28年(1953) 11月2日 和辻哲郎《日本倫理思想史》、杉本栄一《近代経済学史》、細井輝彦《蚊のいない国》、第7回毎日出版文化賞受賞。 岩波書店
昭和32年(1957) 4月20日 《麦積山石窟》刊―1956年秋、魯迅20周忌に際して中国に招かれた名取氏が甘粛省麦積山の石窟を訪れ、日本にはまだ紹介されなかったこの石窟の塑像を撮影、その豊富な写真集に和辻哲郎氏の評論と鄭振鐸氏の解説を付したもの。美術史の新資料として注目された。 岩波書店
昭和33年(1958) 6月30日 日本ユネスコ国内委員会、日本の代表的思想文献の翻訳を計画し、西田幾多郎《善の研究》、和辻哲郎《風土》、宇井伯寿《仏教汎論》など5篇を決定。 出版界
昭和35年(1960) 12月26日 和辻哲郎氏逝去。 岩波書店
昭和36年(1961) 11月1日 《和辻哲郎全集》刊行開始―全20巻。編集:安倍能成・天野貞祐・谷川徹三・金子武蔵・古川哲史・中村元。全集ではあったが、著者の遺志により、学術研究や著作活動と直接関連なき書翰・日記・断片の類までも網羅するという、全集編纂に通常行われている方針を避け、生前の著書と大学における講義を主として編集された。なお、この全集版において、従前、旧カナで刊行されていた著作をすべで新カナに改める方針がとられたが、これは出版社からの提案によるものではなく、今日の若い読者に著者の労作を今後永く親しみやすいものにしておきたいという、遺族の希望と上記編集者の一致した賛成とによるものであった。(1963.6.14完結)。 岩波書店
昭和51年(1976) 11月16日 《和辻哲郎全集》第2次刊行開始―全20巻。刊行後15年を経てその間再刊を望む声が絶えなかったが、再刊に当っては、初版の折の未収載の多くの文章を増補して、最終巻第20巻を再編成した。前回の読者にはその追補分288頁を〈補遺〉として販売した。(1978.6.16完結)。 岩波書店
昭和58年(1983) 5月27日 《岩波文庫101》発売―若い人々のために、岩波文庫から選りすぐりの古典的作品82点101冊に、新しくカバーをつけて発売した。各冊分売であるが、全冊をセットとして合計定価3万5650円で販売、そのセットには特装読書手帖1冊をそえ、またカバーに印刷されているシール10枚で、特製ブックカバーを進呈した。同時に全書目に解説を付した小冊子《岩波文庫101》(新書判48頁、非売品)を作製、読書指導の手引きとして全国の中・高希望校に贈った。//書目一覧―森鴎外 ウィタ・セクスアリス/夏目漱石 吾輩は猫である全2冊/田山花袋 東京の三十年/島崎藤村 破戒/樋口一葉 にごりえ・たけくらべ/泉鏡花 高野聖・眉かくしの霊/寺田寅彦 随筆集全5冊/志賀直哉 小僧の神様/石川啄木 ROMAZI NIKKI/芥川竜之介 羅生門・鼻・芋粥・偸盗/宮沢賢治 風の又三郎/太宰治 富嶽百景・走れメロス/与田準一編 日本童謡集/伊藤整 近代日本人の発想の諸形式/中原中也 詩集/小堀杏奴 晩年の父/小熊秀雄 詩集/魯迅 評論集/郭沫若 歴史小品/老舎 駱駝祥子/知里幸恵編訳 アイヌ神謡集/ソポクレス オイディプス王/シェイクスピア ヴェニスの商人/スウィフト ガリヴァー旅行記/ブルフィンチ ギリシア・ローマ神話/ラフカディオ・ハーン 怪談/サキ傑作集/オーウェル評論集/マーク・トウェイン 不思議な少年/ビアス いのちの半ばに/オー・ヘンリー傑作選/フーケー 水妖記/ヘルマン・ヘッセ デミアン/シュテファン・ツワイク マリー・アントワネット全2冊/ベルトルト・ブレヒト ガリレイの生涯/モリエール タルチュフ/ラ・フォンテーヌ 寓話全2冊/スタンダール 赤と黒全2冊/デュマ 三銃士全2冊/ジョルジュ・サンド 愛の妖精/ルナアル にんじん/ロマン・ロラン ベートーヴェンの生涯/ゴーゴリ 外套・鼻/ドストエーフスキイ 罪と罰全3冊/トルストイ イワンのばか/ガルシン あかい花/チェーホフ 可愛い女・犬を連れた奥さん/ハイヤームルバイヤート/倉野憲司校注 古事記/芭蕉 おくのほそ道/一茶俳句集/町田嘉章・浅野建二編 日本民謡集/杉田玄白 蘭学事始/巌本善治編 新訂海舟座談/福沢諭吉 新訂福翁自伝/中江兆民 三酔人経綸問答/内村鑑三 後世への最大遺物・デンマルク国の話/大杉栄 自叙伝・日本脱出記/細井和喜蔵 女工哀史/柳田国男 遠野物語・山の人生/和辻哲郎 古寺巡礼/橋本進吉 古代国語の音韻に就いて/日本戦没学生記念会編 きけわだつみのこえ/吉野源三郎 君たちはどう生きるか/金谷治訳注 論語/金子大栄校注 歎異抄/タキトゥス 年代記全2冊/アーネスト・サトウ 一外交官の見た明治維新全2冊/コロンブス航海誌/E.S.モース 大森貝塚/柴田治三郎編訳 モーツァルトの手紙全2冊/プラトン ソクラテスの弁明・クリトン/マルクス・アウレーリウス 自省録/ルソー エミール全3冊/ヒルティ 眠られぬ夜のために全2冊/H.ブラッドリ 英語発達小史/ヴェーゲナー 大陸と海洋の起源全2冊/ポール・ド・クライフ 微生物の狩人全2冊/イェーリング 権利のための闘争/J.S.ミル 自由論/エンゲルス 空想より科学へ/M.ウェーバー 職業としての学問。 岩波書店
昭和61年(1986) 11月 第40回毎日出版文化賞を岩波新書宮崎義一《世界経済をどう見るか》と粟津キヨ《光に向って咲け―斎藤百合の生涯》が受賞。なお後者は山川菊栄記念婦人問題研究奨励金を受ける。サントリー学芸賞社会風俗部門で大貫恵美子《日本人の病気観》が、思想歴史部門では坂部恵著《和辻哲郎》がそれぞれ受賞。浜谷浩写真集成《地の貌生の貌》が第2回写真巨匠賞を受賞。 岩波書店
平成元年(1989) 2月6日 和辻哲郎文化賞第1回授賞(主催姫路市)。大久保喬樹《岡倉天心》他1点。 出版界
2月 和辻哲郎生誕100年を記念して〈和辻哲郎文化賞〉(主催=姫路市)が創設された。第1回学術部門でカリフォルニア大学W.R.ラフルーア教授の研究論文が受賞。この論文は1988年12月刊の《戦後日本の精神史》に所収。 岩波書店
5月9日 《和辻哲郎全集》刊行開始―全24巻。生誕100年にあたり、前回全集未収の論文・エッセイ等を補い、書簡集を新たに加えるとともに諸データをも整備して、前回全集に4巻を加えて完璧を期した。(1992年8月完結)。 岩波書店
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