(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

"大塚久雄"が書かれている年表項目はハイライトされています。

表示切替
月日 事項 年表種別
昭和29年(1954) 12月17日 大塚久雄、弘文堂刊《改訂版・近代資本主義の系譜》の偽版(旧版の紙型使用による無断発行)につき、弘文堂と連名で告訴。 出版界
昭和35年(1960) 5月28日 《西洋経済史講座》刊行開始―全5巻。編著:大塚久雄・高橋幸八郎・松田智雄。封建制から資本主義への移行が世界史的に見て最も典型的に行われたと思われる西ヨーロッパにおけるその過程を、理論的・実証的に究明する試みで、編者を中心とする西洋経済史研究の少壮約40人の学者が総合的な計画にもとづき、共同研究を行いながら分担執筆された。わが国における西洋経済史学の成果の一つの集成であったが、全体としてこの講座のモティーフを成したのは。明治維新以後の日本資本主義の特質を科学的に理解するための、世界史的座標を探るということであった。したがって読者としては、専門の西洋経済史研究家以外の広汎な層を予想し、各方面に活溌な反響があった。なお、この題目に関する史料文献約1500を、各国別、各時代別、部門別、問題別に整理し、解題を付した第5巻は、世界にも類の少ない試み、その編纂は予定に数倍する難事業となり、他の4巻の完結より8ヵ月おくれて完成したが、発行後の評価は高かった。(1962.4.7完結)。 岩波書店
昭和36年(1961) 7月25日 小冊子《100冊の本―岩波文庫より》刊―新書判56頁、非売品。岩波文庫は創刊以来35年間に2700点を刊行し古典の普及版叢書としては、創刊当時模範とした《レクラム文庫》をも凌ぐ厖大な書目を擁し、国際的に見ても類のない出版となったが、それだけに、一般の読書人、とくに若い人々にとっては、その全体を見渡して選択を行うことが困難となり、適当な案内を必要とするに至った。1956年に《読書案内》という小冊子を出したのもこの必要に応じるためであったが、さらに岩波文庫の中から100点をえらんで実際的に一つの指標を提供することを試みたのである。100点の選衡については、まず下記15人の選者に依頼して、それぞれ岩波文庫総目録を検討の上若い読者に推奨すべき書目100点を挙げていただき、その結果を集計し、得票数による順位をつけて選者に報告、さらに数名の選者が討議を重ねて結論を出した。小冊子に発表するにあたっては、各著作に解説を付した。選者:臼井吉見・大内兵衛・大塚久雄・貝塚茂樹・茅誠司・久野収・桑原武夫・武谷三男・鶴見俊輔・中野重治・中野好夫・松方三郎・丸山真男・山下肇・渡辺一夫。非売品として各小売店を通じて頒布、非常な歓迎を受け、増刷を重ねた。他方7月25日から新聞紙上にもこの結果を広告、100点の文庫本そのものもセットとして販売したが、その反響は著しく、岩波文庫発刊時に次ぐ盛況を示した。 岩波書店
昭和38年(1963) 3月11日 《矢内原忠雄全集》刊行開始―全29巻。監修:南原繁・大内兵衛・黒崎幸吉・楊井克巳・大塚久雄。編集:楊井克巳・大塚久雄・藤田若雄・坂井基始良・矢内原伊作。矢内原氏が生前、経済学者と伝道者と教育者とを一身に兼ね、その著作もこの三つの分野にわたって厖大であったため、歿後、或いは学術的著書だけをまとめて出版、或いは宗教的著書だけを集めて刊行したいという申込みが、二、三の出版社から行われ、いずれも全著作を集成する試みには躊躇の色を示した。本全集は、それにあきたりず著者の全貌を伝えたいという遺族・門下の方々の切望に応えて刊行されたもので、編集にあたっては、個人雑誌《嘉信》掲載の講義・所感等を改めて分類・総括するなど、特別な配慮が行われ、著者の多面的な業績が整理されて読者に伝えられた。発売前から門下の方々の並々ならぬ努力があり、予想を遥かに上回る多数の読者を得た。(1965.7.29完結)。 岩波書店
昭和39年(1964) 6月4日 〈岩波市民講座〉開講―1957年、岩波文庫創刊30年、岩波新書創刊20年を記念して〈岩波の文化講演会〉を発足させたが、それ以後8年余の間に、全国百数ヵ所で講演会を開催して、学者・評論家・作家等の著者と読者の間の交流に努めてきた。この試みは学問・研究の成果を世に伝えるという岩波書店の基本的な出版理念に沿って行われてきたものであるが、さらに一歩をすすめて、講演会と並行して新たに〈岩波市民講座〉を開設した。1000人を超える聴衆を前にして行われる講演会と違って、この講座は1回およそ2時間の講義を2回あるいは3回連続して行い、できる限り体系的な知識を聴講者が得られるよう、会場も小規模な場所をえらび、受講者数も限定することとした。この日、〈大内兵衛先生講座 世界経済の天気図―南風競わず―〉を第1回として、新宿紀伊国屋ホールで毎週木曜日午後1時半から開講し、1968年4月からは会場を神保町ビル岩波ホールに移し、毎週金曜日午後2時の開講とした。また、1965年には仙台・広島・名古屋で、1966年には静岡・福岡・金沢でも開催した。1965年には1年間で19講座39回を行い、受講者の総数は男性7046人・女性2687人に及び、1回当り受講者はほぼ250人であった。その後、勤めをもたれる方々の強い要望に応えて、夜間に開催することとした。〈岩波市民講座〉は直接の受講者だけではなく、その内容が《図書》に掲載されることも多く、なかには〈大塚久雄先生社会科学の方法〉のように、岩波新書としてまとめられたものもあった。発足後15年をへて、1979年を最後としてその幕を閉じ、より高度な〈市民セミナー〉へと移行した。 岩波書店
昭和42年(1967) 6月29日 《考える人―五つの箱=岩波文庫より》発売、ならびに小冊子作製―この年、岩波文庫創刊40年にあたり、12名の先生方にお願いして、現代に生きる人々が直面している中心課題を5つのテーマにしぼり、岩波文庫の中から、テーマごとに17~19冊を選択してセットとした。それぞれのテーマについて選者に読書の手引きの執筆をお願いして小冊子とし、各セットに付した。選者は、〈学問の精神〉=湯川秀樹・大塚久雄、〈国家とは何か〉=丸山真男・日高六郎・福田歓一、〈人生〉=吉川幸次郎・中野好夫、〈人間の解放〉=宇野弘蔵・中野重治・松田道雄、〈生きるよろこび〉=桑原武夫・久野収の諸氏である。 岩波書店
昭和44年(1969) 1月17日 《大塚久雄著作集》刊行開始―全10巻。本著作集は、氏の学問的業績を総括するとともに、氏の思想と人格との全貌をも伝えるように編纂された。従って主著のみでなく、随想その他の短い文章も、この観点から見て逸することの出来ないものは洩れなく収録し、これを問題別に分類し、体系的に配列した。(1970.2.20完結)。 岩波書店
昭和45年(1970) 2月20日 《大塚久雄著作集》全10巻完結。(第1回、1969.1.17)。 岩波書店
昭和60年(1985) 4月8日 《大塚久雄著作集》刊行開始―全13巻。1969年刊行の10巻に加え、その後発表された多数の論考をテーマ別に厳選し、新しく(11巻)比較経済史の諸問題。(12巻)社会科学とヴェーバー的方法。(13巻)意味喪失の文化と現代、の3巻を編集した。(1986年4月完結) 岩波書店
昭和61年(1986) 4月18日 《大塚久雄著作集》1985年版、全13巻完結。(第1回1985年4月)。 岩波書店
PAGE TOP