(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和37年(1962) 4月27日 岩波講座《日本歴史》刊行開始―全23巻。編集委員:家永三郎・石母田正・井上清・井上光貞・北島正元・北山茂夫・佐藤進一・竹内理三・遠山茂樹・永原慶二・奈良本辰也・林屋辰三郎・古島敏雄。戦後10数年、日本歴史の研究はかつてない自由を享受しつつめざましく展開され、戦前と一時期を画する段階にまで到達したので、その成果を総括し、学問的に信頼しうる日本史の知識を総合的に整理して提供しようとする試み。編集委員13氏の討議によって、原始時代から現代に至る重要項目175を選び、時代を追って配列、180人の研究者が参加し、各時代ごとに連絡・協議の上それぞれの項目を分担執筆された。なお各時代に総説を付し、その総説を連ねれば一種の通史となるように工夫すると共に、各時代ごとに研究史を添えて、各論文の学問的背景をも捉えうるようにした。この準備のため、約2年の日子を要し、この間に、他社から通俗的な日本史のシリーズが幾種類か刊行され、空前ともいうべき歴史物ブームが出版界を席捲していて、この講座の如き地味な学問的な出版については成功を危ぶむ意見もあったが、その風潮がかえって学問的な要求をめざましたためか、発売後たちまち増刷を重ねたほどの需要があり、講座としては稀れな発行部数を得た。(1964.2.28完結)。 岩波書店
昭和40年(1965) 6月12日 家永三郎、教科書検定を違憲とし国に対し賠償請求の民事訴訟を起す(1967.6.23行政訴訟を起す)。10月10日、遠山茂樹・宗像誠也・阿部知二ら、教科書検定訴訟を支援する全国連絡会結成。 内外事情
昭和42年(1967) 6月23日 家永三郎、新たに国に対し教科書不合格処分取消しの行政訴訟を起す。 内外事情
昭和43年(1968) 2月14日 《日本歴史叢書》刊行開始―全16巻。岩波講座《日本歴史》は最新の歴史研究の集大成であったが、この叢書はその成果を基礎にして、シリーズの形で書き下ろし、一つの歴史的時代・歴史的事件を、包括的に全体像として捉えるべく企画された。執筆者それぞれの問題意識に貫かれた、個性的でしかも視野の広い史書として注目を惹いた。(1986年末1点未刊)。なお家永三郎《太平洋戦争》は、今日までに英語・スペイン語・イタリア語に翻訳されている。 岩波書店
昭和45年(1970) 5月25日 《日本思想大系》刊行開始―全67巻。編集委員:家永三郎・石母田正・井上光貞・相良亨・中村幸彦・尾藤正英・丸山真男・吉川幸次郎。戦前・戦中を通じて厳しい抑圧を蒙っていた日本思想史の研究が、戦後、急速に開花し、在来未開拓の分野に向けての研究もまた年ごとに進展をみた。一方、読書家の中にも日本思想に対する関心が広まりつつあった。このような気運にこたえ、日本思想の古典的文献を集成・編纂し、あわせて文献入手の困難性をも克服しようとする意図をもってこの《大系》は企画された。古代から明治維新前夜に至る各時代・各思潮の代表的思想家の主要な著作をはじめとして、ひろく民衆の思想や意識を伝える資料的文献をもできるだけ採録して、これに厳密な原典批判・校訂を加えて定本づくりを志向し、懇切な注解を施し、また各巻に文献解題と思想史的解説を付して、今日の思想的課題との関連を明らかにした。執筆者は広く歴史学・宗教学・倫理学・中国文学・中国哲学・日本文学・国語学・政治思想史・法学・経済学・科学史学・文化人類学等、多方面の関連部門の専門家多数の協力を得ることができた。先に《日本古典文学大系》全100巻を完成した経験の悉くがこの大系に傾けられた。(1982.5.31完結)。 岩波書店
7月17日 東京地裁、家永三郎の教科書(行政訴訟)に対し、教科書検定は教育内容への国の不当な介入として、検定不合格の取消を判決(裁判長杉本良吉。文部省、控訴)。 内外事情
昭和49年(1974) 7月16日 東京地裁、家永三郎の教科書賠償請求訴訟で検定制度は憲法・教育基本法に違反せずと判決〈高津判決〉。 内外事情
昭和56年(1981) 11月 愛知県高教組司書問題検討委、県立高校図書館で管理職の介入による購入禁止図書リストを発表、問題化(家永三郎《日本の歴史》・黒柳徹子《窓ぎわのトットちゃん》・杉本苑子ほか《対談にっぽん女性史》など58点)。 内外事情
昭和59年(1984) 1月19日 家永三郎、教科書検定(〈侵略〉修正など)で第3次国家賠償請求訴訟。 内外事情
昭和61年(1986) 3月19日 家永三郎による高校用教科書《新日本史》の検定不合格処分に係る第1次訴訟(損害賠償請求)上告審(東京高裁)判決。原告の請求をすべて棄却。20日、原告上告。 出版界
平成2年(1990) 1月26日 《植木枝盛集》刊行開始―全10巻。編集:家永三郎・外崎光広・松永昌三・川崎勝。自由民権運動家植木枝盛の主著はもちろん、今日通覧し難い新聞論説を1000点近く蒐め、約150点を選び、また行動する思想家植木枝盛の真骨頂を示す建白書や檄文などを一巻にまとめた。明治史研究の史料としても抜群の価値をもつ克明な日記も収める。(1991年11月完結)。 岩波書店
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