(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
大正6年(1917) 5月1日 月刊雑誌《思潮》創刊―主幹:阿部次郎。同人:石原謙・和辻哲郎・小宮豊隆・安倍能成。発行の辞は1300字に及ぶがその始めに“優れたる文明を建設し豊なる生活を開展せむがためには、その基礎を広くおおらかに築かなければならない。そのためには、我等は、祖国のことと共に世界のことについて、自家のことと共に他人のことについて、博大にして深邃なる興味と同情と理解とをもっていなければならない。狭隘なる国粋主義は、徹底せる理解と批評とを欠ける外国模倣と共に、我等の文明と生活とを貧寒にするものである”と述べている。定価は創刊号30銭、以後25銭。 岩波書店
9月 《漱石全集》の予約募集を発表―全12巻。(刊行途中第13巻と別冊が計画に加わり全14巻となる)。編集顧問:狩野亨吉・大塚保治・中村是公。編集者:寺田寅彦・松根東洋城・阿部次郎・鈴木三重吉・野上豊一郎・安倍能成・森田草平・小宮豊隆。刊行のスローガンに“日本が生める世界的文豪を永久に記念すべき一大金字塔”“芸術は永く、人生は短し”の二つを使った。著者の生前にその著作を発行した書店との関係を考慮して岩波書店内に漱石全集刊行会を置き、岩波茂雄が代表者になった。 岩波書店
大正13年(1924) 6月5日 第3次《漱石全集》刊行開始―全14巻。第1次の漱石全集は主として森田草平・鈴木三重吉両氏によって編纂されたが、第2次に至って小宮豊隆氏が編纂に当り、その機会に編纂方針が根本的に検討された。第3次以後もほとんど小宮豊隆氏の独力で編纂がつづけられた。この第3次の刊行にあたっては、すでに前2回の全集によって資料はほぼ蒐集しつくされていると考えられていたのであったが、とりかかってみると依然として新しい資料が次ぎ次ぎに発見された。漱石全集は後に日本の個人全集の規範と見なされるに至ったが、その確固たる基礎を作ったのは、この第3次の編纂であった。(1925.7.5完結)。 岩波書店
昭和10年(1935) 10月20日 決定版《漱石全集》刊行開始―全19巻。漱石歿後20年を記念して刊行した新装決定版。この全集では各巻に小宮豊隆氏の解説をつけ、漱石研究者のために総索引を加え、表紙も従来の朱色に古代文字を配したものから、単色高雅な濃紺に変えた。個人全集の典型といわれている。(1937.10.10完結)。 岩波書店
昭和13年(1938) 3月20日 《鈴木三重吉全集》刊行開始―全6巻。編集:安倍能成・森田草平・小宮豊隆・青木健作・坪田譲治・小山東一。(1938.12.24完結)。 岩波書店
昭和22年(1947) - 前年より連合軍最高司令部民事検事局命令にもとづき事前検閲を受けた際一部削除された書目には下記のようなものがある//滝沢敬一《フランス通信》、山田勝次郎《米と繭の経済構造》、羽仁五郎《明治維新》、天野貞祐《道理の感覚》、野呂栄太郎《日本資本主義発達史》、斎藤茂吉《つゆじも》、田中耕太郎《教育と権威》、岩波茂雄〈岩波新書刊行の辞〉〈岩波全書刊行の辞〉、福沢諭吉《福翁自伝》、野村吉三郎《米国に使して》、プライス《近代民主政治》、アンデルセン《お話と物語集》、徳冨健次郎《みみずのたはこと》、内村鑑三《後世への最大遺物》、尾崎咢堂《回顧漫録》、小宮豊隆《夏目漱石》、安倍能成《自然・人間・書物》、ベーベル《婦人論》、内田清之助《渡り鳥》、大塚弥之助《山はどうして出来たか》、小倉金之助《日本数学史》ほか数点。 岩波書店
昭和31年(1956) 5月28日 新輯決定版《漱石全集》刊行開始―全34巻。8回目の全集。新資料を加え全作品にはじめて注解を施した。各巻ごとに小宮豊隆氏の書きおろし解説を付す。注解その他の実務は古川久氏が担当された。(1957.10.12完結)。 岩波書店
昭和32年(1957) 5月 岩波文庫創刊30年・岩波新書創刊20年記念行事―次ぎの如き催しを行なった。//18日東京産経会館にて記念文化講演会開催―講師:大内兵衛・中谷宇吉郎・幸田文・桑原武夫。//20日椿山荘にて記念パーティー―印刷・製本関係者等600人来会。//22日・24日文化講演会―富山市・新潟市公会堂にて開催。講師:中谷宇吉郎・野間宏・小宮豊隆。同時に文豪遺墨展・岩波写真文庫展・日本古典文学大系が出来るまでの順序工程展示を行う。この後記念の文化講演会を全国13ヵ所で開催した。 岩波書店
昭和40年(1965) 12月9日 《漱石全集》刊行開始―全16巻。漱石一周忌にあたる1917年12月、第1回の《漱石全集》を刊行して以来、小宮豊隆氏指導のもとに全集の刊行は7回を数え、延部数は600万に及んでいる。この年12月9日は漱石歿後50年、1966年1月5日が生誕100年となるのを記念して新版を刊行した。全作品の真の姿を不動のものとして後世に遺しうるよう校訂に万全を期し、判型は菊判を採用した読みやすい本文、石鼓文朱色表紙を用いた堅牢な造本、そのいずれをとっても個人全集の規範となるものとした。この全集をもって《漱石全集》の〈定本〉とする。(1967.4.28完結)。 岩波書店
昭和41年(1966) 5月3日 小宮豊隆氏逝去。 岩波書店
昭和53年(1978) 12月5日 《漱石全集》新書型特装版第2次刊行開始―全35巻。編集・解説:小宮豊隆。1956年5月から1957年10月にかけて、全34巻を刊行した新書判全集に、新たに補遺1巻を加えて、毎月2冊ずつ刊行した。(1980.5.6完結)。 岩波書店
昭和57年(1982) 1月8日 《鈴木三重吉全集》復刊開始―全6巻新輯別巻1。編集:安倍能成・森田草平・小宮豊隆・青木健作・坪田譲治・小山東一。本全集はその純文学の面における文業のすべてを収め、1938年3月から全6巻として刊行されたが、今回の復刊にあたり、当時種々の状況から発表しえなかった書簡および新発見の700余通を、別巻《書簡集補遺》とした。(1982.7.23完結)。 岩波書店
9月 単行本25冊を一括して復刊・重版―岩波書店の単行本は既刊書目が多く、そのすべてを常備することは困難であるので、今後毎年、9月・2月の時期をえらび、一括して復刊・重版することとした。書目一覧―野上豊一郎 能―研究と発見/同 能の再生/同 能の幽玄と花/シロコゴロフ 北方ツングースの社会構成/深井英五 枢密院重要議事覚書/遠山・安達 近代日本政治史必携/山本正秀 近代文体発生の史的研究/ホブズボーム 市民革命と産業革命/加藤周一 現代ヨーロッパの精神/村岡典嗣 本居宣長/土橋寛 古代歌謡と儀礼の研究/前田河広一郎 蘆花伝/夏目鏡子 漱石の思ひ出/小宮豊隆 中村吉右衛門/同 芭蕉の研究/杉浦正一郎 芭蕉研究/斎藤茂太 茂吉の体臭/葛巻義敏 芥川竜之介未定稿集/小尾郊一 中国文学に現われた自然と自然観/斯波六郎 中国文学における孤独感/吉川幸次郎 支那人の古典とその生活/ヴェルフリン 美術史の基礎概念/田中喜作 浮世絵概説/長田新 ペスタロッチー教育学/留岡清男 教育農場五十年。 岩波書店
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