(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和15年(1940) 10月20日 陸軍恤兵部より岩波文庫、志賀直哉《小僧の神様》など20点、各5000部を実費で納入せよとの注文。納入総額2万6650円、納入価格は星一つにつき13銭(一般定価は20銭)であった。用紙は軍部から特別配給、すべて戦線の将兵に慰問品として配られた―その書目下記の通り。//夏目漱石《虞美人草》、徳冨健次郎《黒い眼と茶色の目》、徳田秋声《あらくれ》、泉鏡花《註文帳・白鷺》、永井荷風《おかめ笹》、志賀直哉《小僧の神様》、志賀直哉《万暦赤絵》、中勘助《銀の匙》、ハドスン《緑の館》、マーク・トウェーン《王子と乞食》、ウェブスター《あしながおぢさん》、ルドウィヒ・トオマ《悪童物語》、バルザック《知られざる傑作》、メリメ《コロンバ》、ドーデー《陽気なタルタラン》、ジョルジュ・サンド《愛の妖精》、フロベール《三つの物語》、プーシキン《大尉の娘》、アラルコン《三角帽子》、ヨハンナ・スピリ《アルプスの山の娘》。 岩波書店
昭和25年(1950) 1月 岩波文庫定価星一つにつき30円、岩波新書定価1冊90円に統一―戦後のインフレーション時代には定価を統一することができなかったが、用紙・印刷等の料金もやや安定してきたので、創刊当時のように統一した定価によることにした。 岩波書店
昭和26年(1951) 5月26日 6月1日以降発行の岩波文庫定価を星一つにつき40円、岩波新書定価を1冊100円と決定。 岩波書店
昭和37年(1962) 4月16日 岩波文庫定価値上げ―1951年以来星一つ40円を単位としていた定価を、この日から星一つ50円に改定した。この10年間に出版物の生産費は絶えず上昇をつづけ、ことに最近の2~3年の上昇は甚だしく、単行本その他はすでにいっせいに値上げされていたが、文庫・新書など、広汎な読者層とつながり且つ点数の厖大な叢書の値上げは、読書界に与える影響も大きく、容易にふみ切れなかった。しかし、終に製品が悉く赤字となる形勢になったため、やむをえず値上げを決定し実行することになった。但し全国の書店には多くの備品が現存し、岩波書店にも大量のストックがあり、定価改定に伴う手続きは簡単でないため、急激な改定、とくに抜打ちの改定を行えば、甚だしい混乱が予想されたので、特に半年前からこの値上げを予告し、読者にもそれ以前に早く求められることをすすめた・事前の準備を配慮しておいたため、この日の実施は全く混乱なく行われ、関係者から賞讃を受けた。 岩波書店
昭和48年(1973) 10月16日 岩波文庫定価改定―星一つ70円とする。岩波文庫は1962年4月以降11年間、星一つ50円の定価をつづけてきた。この間、1970年5月には、スピン(糸しおり)を廃止して紙製のしおりに代え、また本年4月には製本を糸かがりから無線綴じに切りかえるなど、原価の抑制に努めてきたが、生産費の上昇は激しく、改定の止むなきに至り、この日以後、星一つ70円とした。この改定の直後にオイル・ショックがおこり、生産費はさらに急騰し、1975年6月には再び定価の改定を行わざるをえないこととなった。 岩波書店
昭和49年(1974) 5月30日 第25回定時株主総会開催―1973年10月の第1次オイル・ショックの影響をうけて用紙不足が生じ、その確保に努力、しかしこの期1年間で用紙代は2倍に急騰し、印刷製本費はそれぞれ3割をこえる値上りをみた。また宣伝費・人件費、その他諸経費の上昇も著しいものがあった。こうしたなかでこの期の売上高は前期に比し31%の増となった。売上部数も18%の上昇をみたが、とりわけ岩波文庫は、生産費の高騰から11年ぶりに星一つ70円に改定、値上げ発表で殺到する読者の注文にこたえるべく大増産したが、それでも品切が続出した。配当1割5分。取締役任期満了につき改選の結果、取締役中山武雄、矢口進退任し、迎田英男取締役に新任、その他重任。監査役任期満了につき改選の結果重任。取締役会において互選の結果、取締役社長に岩波雄二郎重任、専務取締役に緑川亨新任、常務取締役に倉持幸一重任、木越晃新任。 岩波書店
昭和50年(1975) 6月16日 岩波文庫定価改定―この日以降刊行する新刊および重版から逐次新定価とする。新定価は☆(白星印)で表示し、☆一つ100円とした。1961年以降★(黒星印)のみで定価を表示していたが、この日以後刊行の文庫については再び奥付に数字で定価を表示することとした。★の在庫品は従来通り★一つ70円のままとすることとした。1973年10月、岩波文庫の定価を星一つ50円から70円に改定した直後にオイル・ショックが起こり、異常なコストの上昇が各方面であいついだ。直接生産費の高騰は、廉価版である文庫の場合、原価率の急激な上昇となるが、幸いに部数の増加により経済的負担を支えてきたが、しかしこれ以上の負担の増加は限度をこえるものがあり、値上げにふみ切った。 岩波書店
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