(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和53年(1978) 10月11日 橋口収公正取引委員長、出版物の再販制を撤廃する方針を表明―戦後制定された独占禁止法による出版物の再販売価格維持の規定をまたずとも、すでに創業2年目の1915年10月、発行図書の、奥付に〈本店の出版物はすべて定価販売御実行被下度候〉と印刷し、爾来定価販売を厳守してきた岩波書店としては、公取の方針に基本的に反対であった。この公取見解をめぐって、出版界と公取との間にはげしい意見のやりとりが行われた結果、1979年末、公取意見を一定限度とりいれた再販売価格維持契約書の文案が成立した。岩波書店は再販維持は当然のことであり、あえて契約書に頼るまでもない、という立場から、従来、各取次店との間にこの種の文書は取り交わしていなかったが、この段階で再販売価格維持の趣意を改めて確認・公表するために、1980年9月、再販売格価[価格]維持契約書を取引きある取次店との間に取り交わした。 岩波書店
10月11日 公正取引委員会の橋口収委員長、記者会見で、再販売価格維持制度につき公正取引委員会が検討をはじめたこと、当面、書籍とレコードの取引状況を対象に調査したうえ、最終的には独占禁止法の改正をめざす考えであることを表明(橋口委員長が指摘した書籍販売にからんでの問題点は、(1)二大取次会社((東販・日販))が書籍流通の約70%を占め寡占体制になっている、(2)定価販売に固執するため売れ残りや返品率がふえている、(3)取次会社と出版社との代金決済などが複雑で書籍流通をゆがめている、など)。 出版界
11月7日 出版物公正取引協議会(日本書籍出版協会・日本雑誌協会・日本出版取次協会・日本書店組合連合会の4団体で構成)、橋口収公正取引委員会委員長の再販制見なおしの表明に対し再販制維持の意思統一をし、橋口委員長に文書〈出版業界の見解〉〈出版物の再販制度の必要性と廃止した場合の弊害〉を提出。9日、4団体代表は記者会見を行い、業界の考え方と姿勢を明らかにした。 出版界
昭和54年(1979) 1月11日 1978年10月11日の公正取引委員会橋口収委員長の〈再販制廃止を検討〉の発言以来、その対応をすすめてきた小規模出版社84社、橋口発言に強く反対する立場から出版流通対策協議会を結成。 出版界
12月7日 衆議院商工委員会の流通問題小委員会、著作物の再販売価格維持制度の問題をとりあげ、出版業界代表(4団体)、橋口収公正取引委員会委員長らから事情をきく。 出版界
昭和56年(1981) 1月7日 非再販本の第1号として橋口収公正取引委員会委員長の《美のフィールドワーク》(創世記)が取次会社に搬入され、10日前後から書店に並ぶ。しかしほとんどの書店は2000円の定価で販売(神戸・海文堂書店で1540円、京都・丸善の古書販売コーナーで1800円で売られた)。なお、非再販本の第2号は公正取引委員会事務局編《独占禁止法の実務・改訂版》(商事法務研究所、4500円)。 出版界
昭和57年(1982) 9月12日 橋口収公正取引委員会委員長、5年の任期を終え退任。 出版界
昭和58年(1983) 8月27日 再販売価格維持契約本部励行委員会(再販本部委員会)、〈目に余る再販契約違反の横行について〉という文書を出版社4268社・取次会社47社・日本書店組合連合会会長その他に送付。これに対し公正取引委員会は、〈非再販本の流通にブレーキをかける意図があるのではないか〉などの疑問を持ち、再販委員会に事情説明を求めた。9月14日、再販委員会の代表は公取委に出向き意見を交換、公取委は了承したが、同時に〈10年かかっても出版界に非再販品が出るようにしていきたい、との橋口収前公取委員長の意向は現在もひきつがれ、変わっていない〉と強調。再販委員会は公取委の意向に対応するため9月30日、非再販本の流通を研究する定価表示等小委員会を設置、第二市場の実態・定価表示問題などを研究していくことを決める。 出版界
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