(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和29年(1954) 8月6日 岩波新書《死の灰》(武谷三男編)刊―この年の3月ビキニ水爆実験・第五福竜丸乗員の降下灰遭難があり、原水爆禁止運動が全国に擡頭、降下灰の問題が国民の関心の的となった。本書はこの問題に関する科学的究明の結果を国民一般に伝えるため、武谷氏を中心に和達清夫・中泉正徳氏等専門家7人の協力を組織し、灰のゆくえ・放射線病・放射能の危険・灰の分析などにつき、物理学・医学・気象学その他専門の立場からの結論を、国民の質疑に答える形で編集したもの。8月6日の原爆投下記念日にまにあわせるため殆ど不休の努力を続けて完成。発表後世界的に反響を呼んだ。 岩波書店
10月5日 岩波講座《現代物理学》刊行開始―全12巻、追補1。編集:菊池正士・小谷正雄・朝永振一郎・湯川秀樹・武谷三男。戦後、自然科学の分野で、湯川氏のノーベル賞受賞に象徴されるような世界的水準への躍進が再び始まっていたが、それに伴って、若い世代に最新の知識を伝え、その理論的水準を急速に高めることが痛切に要求されるようになった。とくに今日の科学と技術との発展の根本的基礎を提供するものとして、物理学最近の進歩を若い学徒の共有物とすることは、最も緊急の必要とされ、それに促されてこの講座の企画となったのである。永宮健夫・久保亮五編《固体物理学》(1961.10.16刊)は、この講座の論文を増補して成った著作である。(1955.12.5完結)。追補、1959.5.30刊行。 岩波書店
昭和33年(1958) 4月20日 岩波講座《現代物理学》第二版刊行開始―全14巻。編集:菊池正士・小谷正雄・朝永振一郎・湯川秀樹・武谷三男。本講座第一版(1954.10.5~1955.12.5全12巻)に訂正をほどこし、その後長足の進歩をとげた素粒子論・核融合反応・放射線物理学・超低温などの新項目2巻分を追加した。(1959.5.30完結)。 岩波書店
昭和36年(1961) 7月25日 小冊子《100冊の本―岩波文庫より》刊―新書判56頁、非売品。岩波文庫は創刊以来35年間に2700点を刊行し古典の普及版叢書としては、創刊当時模範とした《レクラム文庫》をも凌ぐ厖大な書目を擁し、国際的に見ても類のない出版となったが、それだけに、一般の読書人、とくに若い人々にとっては、その全体を見渡して選択を行うことが困難となり、適当な案内を必要とするに至った。1956年に《読書案内》という小冊子を出したのもこの必要に応じるためであったが、さらに岩波文庫の中から100点をえらんで実際的に一つの指標を提供することを試みたのである。100点の選衡については、まず下記15人の選者に依頼して、それぞれ岩波文庫総目録を検討の上若い読者に推奨すべき書目100点を挙げていただき、その結果を集計し、得票数による順位をつけて選者に報告、さらに数名の選者が討議を重ねて結論を出した。小冊子に発表するにあたっては、各著作に解説を付した。選者:臼井吉見・大内兵衛・大塚久雄・貝塚茂樹・茅誠司・久野収・桑原武夫・武谷三男・鶴見俊輔・中野重治・中野好夫・松方三郎・丸山真男・山下肇・渡辺一夫。非売品として各小売店を通じて頒布、非常な歓迎を受け、増刷を重ねた。他方7月25日から新聞紙上にもこの結果を広告、100点の文庫本そのものもセットとして販売したが、その反響は著しく、岩波文庫発刊時に次ぐ盛況を示した。 岩波書店
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