(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
大正5年(1916) 9月11日 河上肇、大阪朝日新聞に〈貧乏物語〉の連載を開始。 内外事情
大正8年(1919) 1月 河上肇による《社会問題研究》(弘文堂)創刊。(1930.10.終刊)。 出版界
大正9年(1920) 6月1日 小泉信三《社会問題研究》刊―なおこの年4月河合栄治郎の《労働問題研究》および河上肇《近世経済思想史論》が刊行され、7月にはポール・ピック《労働争議》が出版されている。当時この方面の問題が活溌に論議されるようになった反映と思われる。 岩波書店
昭和2年(1927) 11月 平凡社《世界美術全集》(全36巻)、早大出版部《物語日本史大系》(全14巻)、改造社《マルクス資本論》(高畠素之訳、全5巻)、上野書店《マルクス主義講座》(河上肇・大山郁夫監修、全12巻)刊行開始。 出版界
昭和3年(1928) 4月17日 東大新人会、ついで各大学の社研に解散命令。京大教授河上肇辞職、ついで東大大森義太郎・九大石浜知行・佐々弘雄・向坂逸郎、大学を追わる。 内外事情
昭和6年(1931) 5月27日 岩波文庫、河上肇・宮川実訳《資本論》、河上肇訳《賃労働と資本》《労賃・価格および利潤》の3点廃刊を宣言(5月28日、東京日日新聞)―全国書店にて販売中のものも即時引き上げ、在庫品をあわせて約10万冊を廃棄した。《資本論》は全34冊を短期間に完結する予定で刊行を開始したものであるが、訳者河上氏の事情により第5分冊以後継続不可能となって2年間経過した。この間5社連盟版《マルクス・エンゲルス全集》刊行挫折の件をめぐって、河上氏との間が円滑を欠いていた際、河上氏訳《資本論》が改造社版《マルクス・エンゲルス全集》に収められるという話が伝わり、これを聞いた岩波茂雄は、河上氏と今後著者対出版者として交渉をつづけることをいさぎよしとせず、廃刊の処置をとったのである。後年、河上氏の歿後に至り、岩波は、河上氏が生前岩波にはすまなかったと知人に語っていたことをきき、感情のわだかまりが全く氷解した。 岩波書店
昭和7年(1932) 11月 河上肇《資本論入門》(改造社刊)、長谷川如是閑《日本ファシズム批判》(大畑書店刊)発禁、荒畑寒村《戦争論》(浅野書店刊)一部削除。 出版界
昭和8年(1933) 1月10日 東京商大教授大塚金之助検挙さる。12日、河上肇検挙さる。 内外事情
昭和15年(1940) 7月10日 左翼的出版物に対する弾圧強化―すでに著者絶版または自発的休版処置をとっていた書目に対しても、改めて発売禁止令が下り、警視庁特高課刑事が、一ツ橋、今川橋、三崎町の各倉庫を臨検して、押収その他の処置をとった。//発禁処分下記6点(紙型押収)。//山田盛太郎《日本資本主義分析》、野呂栄太郎《日本資本主義発達史》、マルクス《賃労働と資本》、同《労賃・価格及利潤》(河上肇訳並びに長谷部文雄訳の文庫本)。//なお任意提出の形式をもって、下記9点の原本および紙型を押収された。//平野義太郎《日本資本主義社会の機構》、レーニン《唯物論と経験批判論》、《日本資本主義発達史講座》(全7巻)。//〔文庫本〕マルクス、エンゲルス《ドイッチェ・イデオロギー》(三木訳)、レーニン《唯物論と経験批判論》(佐野訳)、同《ロシアに於ける資本主義の発展》(大山・西訳)、エンゲルス《家族、私有財産及び国家の起源》(西訳)、同《反デューリング論》(長谷部訳)、マルクス《哲学の貧困》(木下・浅野訳)。 岩波書店
昭和22年(1947) 9月10日 岩波文庫《資本論》刊行開始―全12巻。河上肇氏訳の中絶と、その後の社会事情により、久しく文庫の書目から欠けていたが、訳者に向坂逸郎氏をえて刊行を開始した。(1956.12.20完結)。 岩波書店
昭和27年(1952) 6月15日 河上肇《自叙伝》刊行開始―全5巻。戦後、雑誌《世界評論》に連載され、のち世界評論社から単行本として出版されたもの。同社の解散により絶版状態になっていたのを、河上氏遺族からの申出により、岩波書店から片山潜氏の自伝と同じ型の新書判として刊行したのである。(1952.10.15完結)。 岩波書店
10月15日 河上肇《自叙伝》全5巻完結。(第1回、1952.6.15)。 岩波書店
昭和57年(1982) 1月25日 《河上肇全集》第I期刊行開始―全28巻。監修:末川博。顧問:寿岳文章・天野敬太郎。編集:杉原四郎・大野英二・住谷一彦・平井俊彦・一海知義・松尾尊兊・山之内靖。編集協力:内藤昭子。河上肇は、経済学をとおして日本の社会科学の基礎を築くとともに、時代と深くかかわりながら模索と脱皮を重ねた思想家でもあった。青年期の時論にはじまり、晩年の長編随筆に至る全著作を網羅し、詩歌・日記・書簡を収録する全集の編纂はこれが初めてである。本全集の計画は当初、筑摩書房によって企画されたが、1978年7月、同書房の不幸な事態によって計画は頓挫するかにみえたが、同書房ならびに全集編纂関係者から、この全集計画継続についての強い要請がなされた。岩波書店は本全集刊行の意義を重視して、この申入れを受入れた。以後数年の歳月をかけて資料の新たな蒐集、厳密な校訂作業を編集の諸氏にねがい、ようやく刊行の日を迎えた。(1984.9.28完結)。 岩波書店
昭和59年(1984) 9月28日 《河上肇全集》第I期全28巻完結。(第1回、1982.1.25)。 岩波書店
12月10日 《河上肇全集 第II期》刊行開始―全7巻別巻1。9月に全28巻の刊行を完了した〈第I期〉に引き続き刊行されるこの〈第II期〉には、著者の初期と晩年の代表作である《日本農政学》《資本論入門》《自叙伝》などを収録した。また、各著書に関連した重要な資料を添付し、《自叙伝》には未発表の〈祖父河上才一郎〉〈祖母天寿院の半生〉〈信州移住の夢〉の3篇を加えた。テキストの校訂には万全を期し、《自叙伝》においては今回はじめて最終稿との厳密な照合がおこなわれるなど、従来の版本とは面目を一新した。(1986.5.20完結)。 岩波書店
昭和61年(1986) 5月20日 《河上肇全集》第II期全8冊完結(第1回1985年8月)。 岩波書店
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