(株)岩波書店『岩波書店八十年』(1996.12)

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月日 事項 年表種別
昭和28年(1953) 9月21日 《日本資本主義講座》刊行開始―全10巻、別巻1。副題:戦後日本の政治と経済。監修者:(代表)大河内一男・小椋広勝・近藤康男・清水幾太郎・末川博・羽仁五郎。編集者:(代表)戒能通孝・島恭彦・遠山茂樹・井上清・井上晴丸・宇佐美誠次郎。さきに1932年《日本資本主義発達史講座》が刊行されてまもなく日本は準戦時体制に入り、つづいて太平洋戦争に突入し、日本の資本主義に関する科学的研究―特にマルクス主義の方法による研究―は全く発表の自由をもたず敗戦に至ったが、戦後8年、前記の講座から数えて21年を経過し、その間に経済史・政治史・国史等の各分野において、日本資本主義に関する多くの研究成果が蓄積されて、研究の進歩はもはや前記講座の頃と同日に論ずることができなくなっていた。また、敗戦による打撃と戦後の諸改革を経たのち、この当時著しい復興の途上にあった日本の資本主義自身にも、新たな研究を必要とする問題が簇生しており、中でも対米従属の問題はとくに鋭く問題とされていた。日本の資本主義を総合的に再検討することは、当時学問的にも必要とされ、労働運動や政治運動の立場からも緊急の必要となっていた。たまたま、本講座の編集者となった社会科学者の間で、《日本資本主義発達史講座》を新たに編纂し書直そうという計画が熟し、幕末・維新から戦後までを含む厖大な計画が立案され、岩波書店へその出版について申し込みがあった。岩波書店編集部は、この計画のうち未開拓の戦後の時期についてまず着手することを提案し、この提案が入れられて、〈戦後日本の政治と経済〉という副題をもつ本講座が成立することになった。執筆者には、最初、〈講座派〉〈労農派〉の対立を超えて、広く多方面からの参加を求める予定であったが、これは種々の事情から実現せず、旧講座派の流れを汲む学者が多数となった。しかし、講座派以外の学者も相当数協力、総勢では約200人の集団労作となった。発行と共に大きな売行きを示し、講座形式の出版としては群を抜いた成績であった。(1955.2.15完結)。 岩波書店
昭和37年(1962) 4月27日 岩波講座《日本歴史》刊行開始―全23巻。編集委員:家永三郎・石母田正・井上清・井上光貞・北島正元・北山茂夫・佐藤進一・竹内理三・遠山茂樹・永原慶二・奈良本辰也・林屋辰三郎・古島敏雄。戦後10数年、日本歴史の研究はかつてない自由を享受しつつめざましく展開され、戦前と一時期を画する段階にまで到達したので、その成果を総括し、学問的に信頼しうる日本史の知識を総合的に整理して提供しようとする試み。編集委員13氏の討議によって、原始時代から現代に至る重要項目175を選び、時代を追って配列、180人の研究者が参加し、各時代ごとに連絡・協議の上それぞれの項目を分担執筆された。なお各時代に総説を付し、その総説を連ねれば一種の通史となるように工夫すると共に、各時代ごとに研究史を添えて、各論文の学問的背景をも捉えうるようにした。この準備のため、約2年の日子を要し、この間に、他社から通俗的な日本史のシリーズが幾種類か刊行され、空前ともいうべき歴史物ブームが出版界を席捲していて、この講座の如き地味な学問的な出版については成功を危ぶむ意見もあったが、その風潮がかえって学問的な要求をめざましたためか、発売後たちまち増刷を重ねたほどの需要があり、講座としては稀れな発行部数を得た。(1964.2.28完結)。 岩波書店
昭和40年(1965) 6月12日 家永三郎、教科書検定を違憲とし国に対し賠償請求の民事訴訟を起す(1967.6.23行政訴訟を起す)。10月10日、遠山茂樹・宗像誠也・阿部知二ら、教科書検定訴訟を支援する全国連絡会結成。 内外事情
昭和43年(1968) 11月25日 《近代日本総合年表》刊―編集:勝本清一郎・西田長寿・江口朴郎・八杉竜一・山本二郎・遠山茂樹・丸山真男・隅谷三喜男・安藤良雄・星野芳郎・藤原彰・今井清一・内川芳美・山住正己・植手通有。この年表の企画が芽生えたのは1964年であった。岩波講座《日本歴史》1962年版の完結にともない、編集部は続く企画として日本の現代史を対象とすべく、その準備として既存の各種年表を用いて、明治以降の政治・経済から学芸・社会にわたる各部門を併記した100年間の年表を作成してみた。この試みを実際に行った結果、近・現代の日本の全体的な歴史像に近づくためには、多くの部門を見やすい形で併記し、それを縦横に一覧しうる〈総合年表〉がいかに必要であり、いかに有用であるかが実感として得られ、その編纂が始められた。以来3年余、編集委員・執筆者および協力者100名近くの方々による共同作業と、二百数十回に及ぶ討議を経て記載項目を3万余に圧縮選定し、それに典拠と索引を付して本年表の完成をみた。すなわちこの年表は、開国以来の日本の歴史(1853~1967)を、〈政治〉〈経済・産業・技術〉〈社会〉〈学術・教育・思想〉〈芸術〉〈国外〉の6部門に並立し、これによって同時代の全体像を一望のもとに収めうるものとなった。1984年5月には、その後の16年を増補した第二版が刊行された。 岩波書店
昭和63年(1988) 5月10日 《日本近代思想大系》刊行開始―全23巻別巻1。編集委員:加藤周一・遠山茂樹・中村政則・前田愛・松本三之介・丸山真男・安丸良夫・由井正臣。開国から帝国憲法発布にいたる約40年の間に存在したさまざまな可能性から何が選択され、それは後世をどう規定したか。広く民衆意識まで視野に入れて、現代の原点ともいうべき時代の全体像に挑む。膨大な史料を厳選してテーマ別に編成し、懇切な注と解説を付した、初めての本格的史料集成。(1992年4月完結)。 岩波書店
10月7日 《石母田正著作集》刊行開始―全16巻。編集:青木和夫・石井進・大隅和雄・遠山茂樹・戸田芳実・永原慶二・二村一夫・早川庄八・吉岡真之・吉田晶・吉田孝・吉村武彦。著者は科学的な歴史研究の運動を推進し、世界史的視野に立った卓抜な問題意識と鋭利な分析方法をもって、日本史研究の成果を次々に結実させてきた。その業績を主題別に編纂した。(1990年6月完結)。 岩波書店
平成3年(1991) 11月6日 《遠山茂樹著作集》刊行開始―全9巻。明治期政治史を中核とする研究業績、鋭い歴史認識に支えられた歴史教育論や社会的発言の数々、歴史科学運動の第一線に常に立ちつづけてきた著者50年にわたる仕事の全体像を示す。著者自から精選し、編成した著作集(1992年8月完結)。 岩波書店
平成4年(1992) 5月29日 第43回定時株主総会開催―この期の売上は、前期を26.0%上回った。特筆すべきことは、「広辞苑第四版」の刊行とそれに関わる販売戦略の展開である。営業的に大きな売上を計上するとともに、岩波書店のイメージを広い読者層に強く印象づけることができた。国際環境年に向けての国際共同出版「地球を救え」の刊行と、ナショナル・ジオグラフィック協会との提携による「地球〈発見〉ブックス」(全7巻)を出発させた。この期に発足した主なものは「宮崎市定全集」「寺田寅彦全随筆」「井上靖歴史紀行文集」「遠山茂樹著作集」「阿部昭集」「安岡章太郎随筆集」「幕末御触書集成」である。刊行点数は624点で前期より23点増、重版は300点増え、4033点となった。配当1割2分。//取締役任期満了につき改選の結果、取締役に今井康之新任、緑川亨、杉山文三両取締役が退任、その他重任。取締役会において互選の結果、取締役会長に岩波雄二郎重任。取締役社長に安江良介重任、専務取締役に石崎津義男重任、常務取締役に禰寝尚武新任。 岩波書店
8月6日 《遠山茂樹著作集》全9巻完結。(第1回1991年11月)。 岩波書店
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